電力・エネルギー工学 · 系統連系検討 · 無効電力供給能力

可能出力スタック

スライスを一枚ずつ重ねて、モデル化した300 MW洋上風力発電所が連系点で供給できる無効電力と、それが不足する領域を描き出します。

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01

概要

交流で連系する300 MWの洋上風力発電所を、風車のコンバータから66 kVアレイ系統、洋上変電所、60 kmの送電ケーブル(エクスポートケーブル)までモデル化しました。定常潮流計算を107,291回(うち104,111回が収束)実行し、陸上の連系点で供給できる無効電力を描き出しています。スタックの各スライスは連系点電圧の一つの値に対応し、0.875 puから1.100 puまでを網羅します。解が得られた各点は、モデル内のすべての制約と照合しています。コンバータの電流・端子電圧・直流リンクの制約、ケーブルと洋上変圧器の定格、そして66 kV・220 kV機器の設備最高電圧です。

このスタックを、EUの発電設備系統連系コード(EU規則2016/631、Art. 21(3)(b)–(c)、図8と表9の範囲、Pmax = 300 MW、風車の定格)が定める包絡線の内側に私たちが引いた例示プロファイルと照合しました。すべての出力レベルで同じ範囲を求めていますが、これは同規則が系統運用者に委ねている選択です。65 Mvarの陸上分路リアクトルを固定で投入した状態では、スタックは二つの領域で不足します。

  • 定格出力で無効電力を供給する側では、すべての電圧で20–45 Mvar不足し、これを決めているのはコンバータの直流リンク制約です。1.100 puでは不足が57.6 Mvarまで深まり、最後に到達する制約は、洋上220 kV母線の245 kVです。
  • 0.875–0.900 puで吸収する側では、有効電力ゼロで最大44.4 Mvar不足します。このときコンバータ端子は0.90 puに達し、負荷時タップ切換器は調整範囲の端にあります。

これらは、同規則自体がコストのかかる領域として挙げている二つの隅、すなわち高電圧での供給と低電圧での消費にあたります。

供給側の不足は、主に私たち自身がモデルに置いたリアクトルによるものです。これがなければ、発電所は供給側の要求をすべての点で満たします。1.100 puでは、固定リアクトルが79 Mvarを吸収しています。連系点の母線に接続した機器は、発電所内の系統には何の影響も与えません。各スライスでは連系点電圧を固定しているためです。そのため補償設備の容量は、最後の一段階として厳密に算出できます。固定リアクトルに加えて±52.4 MvarのSTATCOMを設置すれば、両方の領域が解消します。125 Mvarのリアクトルを、発電所が供給するときは開放し、吸収するときは投入するように切り換えれば、STATCOMなしで両方とも解消できます。

この構成は代表例であり、実在のプロジェクトではありません。連系点は陸上にあり、発電所が自前で送電設備を建設する場合に相当します。連系点の位置は国によって異なり、適用される条項もそれに従います。陸上に連系点がある場合、同規則は発電所を陸上の発電パークモジュールとして扱います(Art. 23(1))。また同規則は、系統運用者がケーブルの所有者に対し、送電ケーブル分を補う追加の無効電力を求めることも認めています(Art. 21(3)(a))が、私たちのプロファイルではこれを求めていません。タップ切換による調整を供給能力に含めてよいかどうかは系統運用者次第のため、スタックは両方の場合について計算しています。

02

開発内容

  • 発電所。300 MWの洋上発電所モデル:
    • 15 MWのフルコンバータ方式風車20基を、66 kVの四つのストリングに接続
    • 負荷時タップ切換器付きの180 MVA洋上変圧器二台
    • 80 Mvarの洋上分路リアクトル
    • 12区間に分割した60 km、220 kVの送電ケーブル

    ケーブル定数は、ケーブルの幾何形状から算出しています。

  • コンバータ。各風車のコンバータには三つの制約があります。電流、交流端子電圧(0.90–1.10 pu)、そして内部電圧に対する直流リンク制約です。直流リンク制約は、端子電圧が上がるにつれて過励磁側の出力を頭打ちにします。
  • 掃引計算。連系点電圧、有効電力、17のタップ位置、風車の無効電力設定値にわたって掃引します。可能出力範囲の各境界は二分法により風車ごとに0.01 Mvarの精度で求め、各境界にはそれを決めている制約を記録します。
  • プロファイル照合。図8の包絡線の内側に表9の範囲で引いた三つの例示プロファイルとスタックを照合します。不足を解消する陸上分路リアクトル(固定式または開閉式)とSTATCOMの容量を算定します。
  • インタラクティブなスタック。次の操作ができます。
    • 電圧スライスを順に切り替える
    • タップ切換器を可変または固定にする
    • リアクトルを固定式と開閉式で切り替える
    • プロファイルを変更する
    • STATCOMの容量を動かす
03

技術スタック

Python、pandapower(ニュートン・ラフソン法による潮流計算)、NumPy。スタックの描画にthree.js、映像フレームの生成にヘッドレスブラウザ。

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数値

数値測定方法
潮流計算107,291回、うち104,111回が収束

陸上連系点についての掃引です。電圧19点 × 出力レベル11段階 × タップ位置17 × 無効電力設定値13または25に、各境界での二分法のステップを加えています。収束しなかった3,180回は制約の範囲外として扱いました。非収束の点で決まった境界は一つもありません。

211 s

この掃引にかかった実時間です。M1 ProのノートPCで5プロセスを使用しました(各プロセスで潮流計算あたり約10 ms)。

169 Mvar

60 kmの送電ケーブルの220 kVにおける充電容量を手計算した値です:U²·ω·C·l、C = 184.9 nF/km(ケーブルの幾何形状から算出)。一端から給電し他端を開放すると、ケーブルは170.1 Mvarを発生します。これは分布定数線路の厳密解でも、私たちの12区間モデルでも同じです。

57.6 Mvarの不足(供給側)

過励磁側で最大の不足です。条件は1.100 pu、定格出力、65 Mvarの陸上分路リアクトルを固定で投入した状態です。最後に到達する制約は、洋上220 kV母線の245 kVです。タップ可変、例示プロファイルA。

44.4 Mvarの不足(吸収側)

不足励磁側で最大の不足です。条件は0.875 pu、有効電力ゼロ。コンバータ端子は0.90 puに達し、負荷時タップ切換器は調整範囲の端にあります。その他の条件は同じです。

±52.4 Mvar

タップ切換器を可変とし、65 Mvarリアクトルを固定で投入した状態で、プロファイルAに対するすべての不足を解消する、1.0 puでのSTATCOM容量です。電流制限のあるSTATCOMが出せるのは定格容量に電圧を掛けた値なので、最大の不足量をその点の電圧で割った値としています(定格電流は1.10 puまで出せると仮定)。

125 Mvar(開閉式)

遮断器で開閉する陸上分路リアクトル(供給時は開放、吸収時は投入)で、タップ可変・STATCOMなしの条件で、プロファイルA、B、Cに対するすべての不足を解消します。5 Mvar刻みで探した、これを満たす最小の容量です。

177.4 Mvar

負荷時タップ切換器を中間タップに固定した場合(固定リアクトル)のSTATCOM容量です。それでも三つの運転点が解消されずに残ります。0.875–0.900 puでは、コンバータがそもそも定格出力を送り出せないためです。

11.1 Mvarと33.3 Mvar

固定リアクトル・タップ可変の条件での、例示プロファイルB(隅の要求を緩和)とC(±0.33の範囲)に対するSTATCOM容量です。

54.7 Mvar

連系点を洋上220 kV母線に置いて同じ照合を行った結果です。系統運用者が所有する洋上ハブに接続する場合に相当します。この場合、送電ケーブルと両方のリアクトルは発電所の外側にあり、STATCOMは洋上に置くことになります(追加の潮流計算106,039回)。適用されるのはArt. 25(5)と表11で、大陸欧州では表11の制限値は表9と同じです。

7.0 MW

定格出力、1.000 pu、風車の無効電力ゼロ、タップ中間位置の条件での、風車端子から連系点までの損失です(連系点への送電量は293.0 MW)。

0.0000002 Mvar

ランダムに選んだ60の運転点で、潮流計算エンジンと、同じ文書化済みデータから独自に実装したニュートン・ラフソン法とを比べた、連系点無効電力の最大差です。これはコードの検証であり、物理の検証ではありません。

すべての数値は、代表的な発電所を想定した自社モデルによる定常状態の計算結果です。適合性評価ではありません。

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静止画

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