電力・エネルギー工学 · 蓄電池
追加されるコンテナ
シミュレーション上の二つの蓄電所が、ドイツの実際の電力価格十年分を駆け抜けます。一方はあらゆる値差を追い、もう一方は自らの劣化に価格をつけます。そして、クレーンはどちらにもやって来ます。
概要
シミュレーション上の同一の蓄電所二つが、2016年1月から2026年10月まで、実際のドイツの前日市場で取引します。どちらもリン酸鉄リチウム(LFP)のコンテナで構成された50 MW / 100 MWhの蓄電所です(価格は2018年9月まではドイツ・オーストリア・ルクセンブルク、それ以降はドイツ・ルクセンブルク。2025年9月までは時間単位、その後は15分単位)。各日の運用は、その日の前日市場価格を知っている線形計画で決めます。左の蓄電所は、変換損失を上回るすべての値差を取りにいきます。右の蓄電所も同じ問題を解きますが、放電量に応じてMWhあたりの劣化価格を支払います。この劣化価格は劣化モデルから導出しています。劣化分を賄えないほど浅い値差には手を出しません。
LFPセルについて公表されたセル劣化モデル(Naumann et al.、カレンダー劣化2018年、サイクル劣化2020年)で、すべてのコンテナを追跡します。カレンダー劣化は時間、温度、充電状態(SOC)に依存し、サイクル劣化は充放電の深さとレートに依存します。SOCの推移に含まれる半サイクルはすべて数えます。蓄電所の使用可能エネルギーが目標の100 MWhを下回るたびに新しいコンテナを追加し、そのコンテナは新品の状態から劣化を始めます。映像では、シミュレーションがコンテナを追加したその日に、クレーンが一基ずつ降ろします。
結果は、よく語られる話ほど劇的ではありません。劣化に価格をつけたことで、右の蓄電所の放電エネルギーは11%少なくなり、各コンテナの追加は数週間から数か月遅くなりました。それでも、どちらの敷地にも必要だったのは同じ六基です。容量低下のおよそ半分はカレンダー劣化で、これは蓄電池が動いていない間も進みます。両蓄電所とも前日市場でのみ取引しており、各日の価格を完全に予見したうえでの、プライステイカー(価格受容者)としてのシミュレーションです。実際の蓄電池の収益には、需給調整市場や当日市場からのものもあります。
開発内容
- SMARDの実際の前日市場価格3,951日分にわたる、50 MW / 100 MWhの蓄電所二つの日ごとの運用計画。HiGHSで解く線形計画として定式化しました。
- 劣化に価格をつける運用戦略:放電量MWhあたりの劣化価格は、同じサイクル劣化モデルと、明示した容量の更新コストから導出します。
- Naumann et al.によるLFPのカレンダー劣化・サイクル劣化モデル。導入時期が同じコンテナのコホートごとに適用し、SOCの推移から半サイクルを数えます。
- 使用可能エネルギーが100 MWhを下回るたびに5 MWhのコンテナを追加する増設ルール。新しいコンテナは、それぞれの設置日から劣化を始めます。
- 決定論的に生成した3D映像。白い光はラックを流れるエネルギー、エメラルド色は右の蓄電所が取引を見送ったエネルギーの割合を表し、各コンテナはシミュレーション上の日付に設置されます。
技術スタック
Python、NumPy、pandas、SciPy(HiGHSによる線形計画)、three.js(WebGL)、Playwrightによるヘッドレスキャプチャ、FFmpeg。
数値
| 数値 | 測定方法 |
|---|---|
| 追加コンテナは6基と6基。劣化に価格をつけた蓄電所では、それぞれ44〜196日遅れて追加されました。 | シミュレーションで測定した、各蓄電所の使用可能エネルギーが初めて100 MWhを下回った日付です。前提条件:コンテナあたり5 MWh、初期容量110 MWh(コンテナ22基)、セル温度25 °C、2016年1月1日から2026年10月25日までの価格履歴。 |
| 放電エネルギーは11%減(670 GWh 対 595 GWh)、前日市場収益の減少は1%未満(€31.1 M 対 €30.9 M)。 | シミュレーションした3,951日すべての合計です。前提条件:各日の前日市場価格を完全に予見、往復効率87%、劣化価格€3.8/MWh、前日市場の収益のみ。この上限には、MILPを使わずに行った充放電の補正で残る差も含まれています。 |
| 初期コンテナの10.8年後の容量低下は27.9% 対 27.2%。うちカレンダー劣化は両蓄電所とも14.3ポイント、サイクル劣化は13.6 対 12.9ポイント。 | シミュレーション最終日における、最初の22基のコンテナについてのモデル出力です。 |
価格データ:Bundesnetzagentur | SMARD.de(CC BY 4.0ライセンス)。劣化モデル:Naumann et al., Journal of Energy Storage 17 (2018) および Journal of Power Sources 451 (2020)。